ムネオとゆかいな仲間たち

執筆者:名越健郎2002年10月号

「お前は政治をなんと心得ているのだ。将来はないものと思え」「オッ、○○君、あの時は世話になった。またよろしく」――。 恫喝と懐柔で外務省を支配した鈴木宗男衆院議員が逮捕されたあと、現在の外務省には「宴のあと」といった無力感が漂っている。鈴木議員が飛ぶ鳥を落とす勢いだったころ、外務省幹部らは鈴木詣でを繰り返し、率先して土下座したものだった。 ところが、鈴木議員が凋落すると、外務官僚は掌を返したように鈴木批判を展開。何十人もいた“ムネオ派官僚”は必死に過去を消そうとしている。しかし、外務省が数年にわたり「ムネオ支配」に甘んじた事実は隠せない。 北方領土へのビザなし訪問団が国後島の友好の家に掲げられたポスターを見て驚いた。「鈴木さん、あなたはわたしたちの友人です」 川口順子外相が初登庁の日、外務省に掲げられたポスターを見て腰を抜かした。「鈴木さん、あなたはわたしたちの友人です」 鈴木議員の逮捕後、竹内行夫外務次官が省内会議で演説し、鈴木議員の恫喝と恐怖統治を激しく非難した。 すると、後ろの方から紙に書かれた質問状が届けられた。紙にはこう書かれていた。「ではお聞きしますが、鈴木支配の時期にあなたはどこで何をしていたのですか?」

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