経済再生に「背水の陣」で臨め

執筆者:2002年11月号

「問題企業の延命は許されない」――。市場は改造内閣の思惑を敏感に読みとっている。今度こそ不良債権の抜本処理が始まるのか。そして「痛み」などでは済みようがない大手術を、日本経済は乗り切ることが出来るのだろうか。 九月三十日の内閣改造は日本経済の分水嶺を画すかもしれない。竹中平蔵経済財政担当相が、金融担当相を兼任するという異例の人事に、永田町ばかりでなく、金融界も言葉を失った。「金融・産業の一体再生」という課題の成否が、バブル崩壊後の失われた十年に終止符を打てるかどうかの鍵を握る。 竹中経財・金融相は就任早々、株式市場の洗礼を浴びた。「四大銀行グループについても『too big to fail(大きすぎて潰せない)』の方針はとらない」。米誌『ニューズウィーク』のインタビューに応えたこの一言が、株式市場の不安を煽った。 日経平均株価は八〇〇〇円台前半まで急落した。とりわけ、過剰債務企業や大手銀行の一角が集中的な売りを浴びせられている。四大銀行グループのなかでも、みずほとUFJの株価は五十円額面換算で二〇〇円を下回った。これは極めて異例のことと言わざるを得ない。 二〇〇一年末から二〇〇二年初めの金融危機に際して、ある都市銀行は株価が二〇〇円を割り込むころから、急速な預金流出に見舞われ、必死になって預金をかき集めた。現在、みずほ、UFJでは預金の流出は起きていないもようだが、これはひとえに日銀が短期金融市場にじゃぶじゃぶに資金を供給し、株式を売却した投資家のお金が銀行預金に振り込まれているおかげだ。

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