ドイツが対イラク軍事行動への不参加を表明したことから米独関係が悪化しているが、シュレーダー独首相は表の対米強硬姿勢とは裏腹にブッシュ政権との関係修復に懸命の工作を行なっている。 ベルリンの消息筋によれば、シュレーダー首相は九月下旬、ロンドンでブレア英首相と会談した際、米国への仲介を依頼した。また、欧州連合(EU)の主導権をめぐって対立しているシラク仏大統領にも数回にわたり直接電話をかけ、同様の仲介を要請。さらに、モスクワの外交筋によると、ロシアのプーチン大統領もシュレーダー首相から米独関係改善のための協力を要請され、その見返りに経済協力の申し出を受けているといわれる。 一方、国連外交筋は「アナン事務総長がシュレーダー首相から対米関係修復への協力を求められ、困惑している」と語っている。同首相がパウエル米国務長官に書簡を送り、関係修復に向けた提案を行なったとの情報もある。 ベルリンの消息筋は「総選挙に勝つために非戦論を打ち出し、選挙が終わったとたん、なりふり構わず米国と仲直りに動く首相に側近からも批判の声が出ている」と指摘している。

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