総務省が主導し、多くの反対で難航中の地上波放送のデジタル化計画に、強烈な反対論が浮上してきた。経済産業省系のシンクタンク、経済産業研究所の提言がそれ。中心となっているのは池田信夫上席研究員らだが、池田氏はNHK出身。さらに、現役の経産省官僚が実名で賛同しているのだ。 提言の中で池田氏らは、「デジタル化は非現実的」であるとして、デジタル化に伴う周波数変更対策費(アナアナ変換費)千八百億円に国費を投入すべきでないと指摘。その上で、「アナログ放送を停止する二〇一一年でのデジタル受像機の普及は、一億台以上あるテレビの一割にも満たない。そんな状態でアナログ放送を停止することは不可能」だと喝破する。この提言に名を連ねているのが、津上俊哉上席研究員ら現役の経産省の官僚たち。地上波デジタル化という“国策”に個人名で反対するとは大した勇気だが、NHK出身者主導で総務省と経産省が対立するという図式が明確になった格好だ。 テレビ局や電機メーカーは様子見とも言われるデジタル化。本来推進派のはずのNHK出身者を軸にした反対論が出たことで、スケジュール通りの実現は一層困難になってきた。

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