英紙『サンデー・タイムズ』の調査班が、放射性物質の不正入手ルートをチェコで見つけた。 調査班は、架空の英国企業の名で、チェコの放射線治療用機械メーカーに「アフリカ援助のため、放射線治療用機械がほしい」と持ちかけ、放射性物質コバルト60を七十グラム含む機械の購入契約を結んだ。さらにチェコ政府の原子力安全委員会、輸出先に想定したナイジェリア政府当局からも、放射性物質の輸出入に協力するとの約束を取り付けた。 コバルト60は、放射性物質を撒き散らす「汚い爆弾」への転用が可能な危険な物質。にもかかわらず、交渉は電話とファックスだけで済み、でたらめな所在地を記入したのに、ニセ会社であることは気づかれなかったという。 チェコでは、盗まれた高濃度ウランが駐車中の乗用車から発見されたり、テロ組織アル・カエダがチェコの犯罪組織を介して濃縮ウランの不法購入を図ったりしている。従来から放射性物質の不正売買の拠点といわれてきたが、今回の調査で管理体制の不備が裏付けられた。テロリストたちがすでに相当量の危険物質を入手した可能性もある。

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