「高出力マイクロ波(HPM)兵器」が、イラク攻撃に使用される可能性が出てきた。HPM兵器は米国がニューメキシコ州のカートランド空軍基地で開発を進めているもの。落雷がコンピューターを壊すように、敵の通信機器やミサイル発射装置の照準機器、対空兵器などの電気回路に爆発的な電磁エネルギーを発生させて破壊する。巡航ミサイル、無人機などでの使用が可能だという。 HPMを搭載した無人機が一回出撃すれば、数キロ圏内にある百カ所の標的を破壊できる。効力の及ぶ範囲が従来の爆弾よりはるかに大きく、高精度誘導も不要。使用しても建造物や生物への影響はほとんどない……。現状は実験段階で、想定ほどの破壊力はないが、性能向上は進んでいる。記者会見で実戦投入の可能性を訊ねられたラムズフェルド国防長官は、「答えかねる」としながらも、アフガニスタン攻撃で初めて用いた開発途上の無人機を引き合いに出し、否定はしなかった。HPM兵器がイラク攻撃の初期段階で巡航ミサイルや有人攻撃機に搭載され、精密誘導爆弾とともに使用されるシナリオが囁かれ始めている。

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