江沢民が頼りにする男・曾慶紅

執筆者:藤田洋毅2002年11月号

「それでは、しばらくやりましょうか」――江沢民が一言発して会議は終わった。党大会を前に権力保持に腐心する江は、腹心の部下を引き上げようと画策している。[北京発]その女性歌手のコンサート会場には、党委書記・省長ら地元のトップが駆けつける。名は宋祖英。中国人民解放軍海軍政治部歌舞団に所属し、「愛我中華」のヒットを飛ばした。彼女が江沢民総書記の「小秘」すなわち愛人だというのは今や「公然の秘密」だと党中央の高官はいった。江の寵愛を受け、中隊クラスの幹部から突如、副師団長級幹部に昇進、中南海にも顔パスで出入りできるのだそうだ。「ずいぶんお盛んですね」と訊くと、別の軍高官は静かに首を振った。「宋さんだけじゃありません。王小椏さんも小秘になりましたよ」。王小椏は中央電視台(テレビ局)主持人の一人で、クイズ番組などの司会を務め知的な美人として絶大な人気を誇る。王の“小秘就任”は、まだごく一部の幹部にしか知られていない。「まるで皇帝のようですね」と重ねて問うと、二人の高官は八月で七十六歳になった江総書記の強烈な“健康誇示”だ、と口を揃えた。党中央委員の定年の内規(今年六月末時点で七十一歳以上は引退)など、どこ吹く風だというのである。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。