国務長官はつらいよ

執筆者:名越健郎2002年11月号

 ブッシュ米政権が近い将来のイラク攻撃に向け、着々と戦闘準備を進めている。 昨年の同時テロ以後の閉塞状況を、イラク攻撃によって中央突破しようとしているかにみえる。とはいえ、株価下落、財政赤字急増など国内経済低迷の中、巨額の戦費を要するイラク攻撃には多くのリスクがつきまとう。3大ネットワークの夜のトークショーは今、「イラク」の前哨戦で盛り上がっている。 ブッシュ大統領とパウエル国務長官が一杯やりにバーに入った。 バーテンダーが大統領に質問した。「大統領、イラクで一体、何をするつもりですか」「われわれはイラク人1000万人と自転車修理工1人を殺すつもりだ」「なぜ自転車修理工を殺す必要があるのですか」 ブッシュ大統領はパウエル長官に向かって言った。「みろ、わたしの言った通りだ。だれもイラク人を1000万人殺すことなんか気にしていない」 パウエル国務長官がイラクの大量破壊兵器開発について、ブッシュ大統領に報告した。「良いニュースと悪いニュースがあります。悪いニュースは、イラクは核兵器を開発済みです」「良いニュースはなんだ」「核の運搬手段はラクダだけです」 ブッシュ大統領が演説で、イラクを激しく非難した。

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