米国のイラク攻撃が現実味を帯びてきたのを受け、政府内では攻撃開始時の対米支援策を検討しようという動きが始まった。これに対し、福田康夫官房長官がストップをかけたという。 支援策検討を試みたのは、外務省出身の谷内正太郎・内閣官房副長官補。谷内氏は年明けには攻撃が開始されることを予測し、十月下旬に関係省庁担当者らと勉強会を開催した。 昨年の米同時多発テロ発生時には、田中真紀子外相(当時)の相次ぐ「口害」に象徴されるように、外務省の危機管理能力、意識の甘さが露呈。さらに、支援策発表に小泉首相が立ち会わなかったりと、国際的な不興を買った。今回はその苦い経験を踏まえ、初動に重点を置いた支援策の検討が目的だったが、「勉強会が表に出るようになっては一切だめだ」という福田氏の一言で勉強会は中断。 谷内氏は「英米派」で、日朝国交正常化交渉では安倍晋三官房副長官らと強硬論を主張、同期の田中均・外務省アジア大洋州局長と対立している。田中氏と親しい福田氏がかねてから谷内氏に厳しいことは有名。国益に絡む問題が感情論に左右されているとすれば由々しきことだ。

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