日本と北朝鮮の国交正常化交渉は暗礁に乗り上げているが、北朝鮮の経済改革支援をはじめ北東アジアのプロジェクトファイナンスを担う「北東アジア開発銀行」の設立構想が水面下で動き始めた。フィリピンのマニラに本拠を置くアジア開発銀行(ADB)の北東アジア版となる。日本、中国が二大資金供与国となるほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国や豪州、米国なども資金を出す計画。第一号の案件は、国連開発計画(UNDP)が推進している、中朝露三カ国の国境を流れる豆満江開発プロジェクトになる見通し。サハリン沖の天然ガスを朝鮮半島、中国に供給するための広域パイプライン計画も「有望な融資先」(関係者)になる。 ここで早くも話題なのが本部の誘致先。日本は最大の出資国になることから東京への誘致を主張する見通しだが、中国は天津、韓国はソウルを推している。総裁はADBトップが千野忠男・元大蔵省財務官であることから、中国、韓国から選ばれる可能性が高い。ただ、ADBは「似た機能を持つ新たな開発銀行は不要」としてこの構想に強硬に反対しており、日本は北東アジア開銀とADBとの棲み分けに苦慮しそうだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。