中国の江沢民国家主席が十月二十五日、米テキサス州クロフォードにあるブッシュ大統領の私邸兼牧場を訪問した。 ブッシュ大統領の牧場に招かれた外国首脳は数少ない。これまでブレア英首相、サウジアラビアのアブドラ皇太子(第一副首相)など数人だ。ブッシュ、江両首脳の会談は三回目だが、米大統領が敢えて親密さを醸し出す私邸兼牧場を選んだのも、中国共産党大会(十一月八日開幕)を機に、第一線を退く同主席の労をねぎらう気持を込めようとしたからだった。ただ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題の急浮上で、“お別れ会談”という儀礼を超えた関心を集めることになった。 江主席一行の到着は予定より三十分遅れた。中国政府の法輪功摘発に抗議するデモ隊を避けるため、車列が遠回りしたからである。ブッシュ大統領は開襟シャツにブレザー、江主席はジャンパー、ローラ夫人と王冶坪夫人はパンタロンとラフな服装で、記者団に笑みを振りまいて私邸に入った。 両首脳は一時間ほど会談した。この席で、米国側はさりげなく江主席がきたる共産党大会を潮時にすべてのポスト(国家主席、共産党総書記、党・国家中央軍事委主席)から退くのか聞いた。江主席は「そうそう。多くの人がそれについて話していますよ」と破顔一笑して煙に巻いた。

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