銀行経営者も遊び心を

執筆者:成毛眞2002年12月号

 このところ、新聞の政治経済面は金融問題のニュースばかりだ。税効果会計の可否だの欠損金の繰越だの、むずかしい金融・経済用語が飛び交い、議論ばかりが延々と続いている。それをもとに政策や政権の善し悪しを判断しなければならない一般国民にとっては、何とも荷が重い。 要は銀行の体質を改善し、利益が出るようにしなければ、余裕をもって資金を貸してもらえないということなのだろう。しかし、不思議なのは議論が銀行の体質改善に終始しているように思われることだ。不良債権を減らして自己資本を充実させる、資産内容を見直し良好な財務体質をつくるといったことは、しょせん利益を出すための準備にしか過ぎない。 健康体になった銀行であれば、どこであれ自動的に利益を生み出せるのだろうか。そうではあるまい。格付けの格差が物語る通り、実際には良い銀行と悪い銀行があるのだ。僕ならむしろ、不良債権処理の方法よりも、処理終了後の各銀行の経営方針の方を聞いてみたいと思う。 もう一つ疑問なのは、税金を投入して経営が健全化したとしても、本当に銀行のサービスが良くなるかどうかだ。単に事業資金を貸してもらえるようになること以外、国民にとってなにか見返りがあるのだろうか。その約束がないならば、悪い銀行から順に廃業してもらいたいと思うのは僕だけではないだろう。

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