政局の流れを探るには、毎週木曜日昼に開かれる自民党各派の総会をチェックするといい。注目は冒頭の各会長のあいさつだ。軒並みリラックスした口調で淡々と終わるようであれば政局は「凪」。熱のこもった演説をぶつ会長が現れたら「時化模様」、一斉に長広舌をふるい始めたら「時化」に突入したと見ていい。 政府が不良債権処理加速策を含む総合デフレ対策「改革加速のための総合対応策」を決定した翌日、十月三十一日の各派総会は完全に「時化」モードだった。「内需拡大策なくしてデフレ脱却も不良債権処理もできるはずがない。空虚な対策だ」 江藤・亀井派総会で、会長代行の亀井静香前政調会長は吠えに吠えた。自民党が五勝二敗と勝ち越した四日前の衆参統一補選についても「小泉政治が信任されたとは思わない。『緊縮財政で不景気にする』と言ったり、道路公団や郵政の民営化を訴えた候補者は一人としていない」と牽制し、「小泉純一郎首相が信任されたと勘違いして、間違った政策をどんどんやっていけば日本は破滅に立ち至る」と畳み掛けた。 亀井氏の首相批判はこの日に始まったことではない。「定食メニュー」との揶揄が派内から漏れるほど、亀井氏と江藤隆美会長は総会の度に首相批判を繰り返してきた。しかし、いつになく張り詰めた空気が総会を包んでいたのは、総合デフレ対策の内容、そして首相のトップダウンの手法への反発が不満に高じていたからに他ならない。

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