オーストラリアのハワード首相がテロ対策に絡み、「たとえ外国でも、自国民に脅威を与えるテロの可能性を察知したら先制攻撃をかける」と発言、東南アジア各国から一斉に反発を受けている。 フィリピン、タイ両国外務省は「他国への軍事行動は、それがたとえ対テロ作戦であっても主権侵害にあたる」と当然の主張で、豪首相発言を非難。さらに、従来からオーストラリア政府の「イスラム教徒とテロリストの同一視」や「白人優越意識」に強い反感を抱いていたインドネシアとマレーシアが、厳しい反論を展開した。 インドネシアは国軍司令官が「それは侵略行為であり、攻撃を受ければ反撃する」と報復を示唆。現地紙は「豪はアジア侵略を用意」との記事まで掲げた。マレーシアのマハティール首相も「豪現政権と良好な関係など持ったことはなく、首相は傲慢だ」と攻撃した。「豪はアジアの一員」というハワード首相の口癖はいまや「口先だけ」で、「実態は米国追従でアジア蔑視の塊」との評価が定着しつつある。マレーシアが二〇〇三年のASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議でもこの発言を取り上げることを提案するなど、豪はいまや孤立無援だ。

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