二〇一〇年の万博開催も決まり発展をひた走る上海に比し、出遅れの目立つ首都・北京。中国共産党中央と国務院、北京市政府は二〇〇八年のオリンピック開催に向け新しい北京の建設を加速する青写真を策定した。 キーワードは「水と緑」。同時に、グレーター上海の向こうを張って、東南に位置する天津市を巻き込んで北京経済圏を拡大、将来的には内モンゴル自治区と河北・遼寧両省をも統合する「大華北経済圏」を目指す。 まずは「水」。「乾燥と砂埃」という北京のありがたくないイメージを返上するため、市の周囲を環状に取り巻く運河の建設を北京市政府が立案、このほど党中央の批准を得たという。第十次五カ年計画の「南水北調」、すなわち揚子江の水を華北に引いてくる大運河建設の計画に連動させる予定だ。 運河は、揚子江の水を北京市内に供給するための巨大な用水路となると同時に、観光客向けにこれまでは想像もできなかった「船に乗っての北京周遊観光」を提供することも狙う。さらには環境保護も世界にアピールする。 道路整備では、大幅に広がる道幅が「緑の北京」を演出する。新設する環状道路、郊外へ延びる幹線道路には十―十五メートル幅のグリーンベルトの敷設を予定している。

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