内閣府・総合規制改革会議のホームページをご覧あれ。公開されている会議の抄録には、官僚や業界団体の奇妙な理屈があふれ返っている。中には真面目に憤るよりもいささか苦笑してしまうようなシロモノも……。 十二月十二日、総合規制改革会議の宮内義彦議長(オリックス会長)は、小泉純一郎首相に対し、規制改革の重点課題を網羅した「第二次答申」を手渡した。「第二次答申」の論点は多岐にわたるが、全体を貫くのは「経済活性化のために推進すべき規制改革」という立場だ。具体的なターゲットとして挙がったのは、同会議が「官製市場」と位置づける医療、福祉、教育、農業の四分野。これらの分野は「本来の健全な市場経済を持ち込むことができれば、新たなビジネスと多くの雇用が生まれる」(宮内議長)可能性がある。そのため民間の力、とりわけ株式会社の参入を認めて、新たな需要を掘り起こそうというのが会議の考え方だ。 しかし、規制当局としての各省庁の立場は、会議とは根本的に異なっている。今後は、二〇〇三年四月の実現を目指す「構造改革特区」に向けて、小泉首相を本部長とする「構造改革特区推進本部」が会議と各省庁の立場をすり合わせていくことになるが、「第二次答申」に添付された「関係各省の考え方」を読む限り、役所のスタンスは極めて後ろ向きなものと言わざるを得ない。例えば病院経営への株式会社の参入について厚生労働省は、「株式会社は出来る限りの利潤を追求することをその本質としており、人件費等コストの削減や売り上げ増大による利益確保のインセンティブが働き、適正な医療を提供できないおそれがあること、医療費の高騰を招きかねないこと」などを理由に反対を表明している。

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