ロシアの最大の武器輸出先である中国が、完成品ではなく生産に必要な設備やノウハウを丸ごと提供するように要求し、クレムリンを困惑させている。中国は最近、あらゆる機会を利用してこの要求を持ち出しており、昨年十二月にプーチン大統領が北京を訪れた時にも強く要請した。 生産設備やノウハウの提供は、最高度の軍事機密を明かすことになるため、中国を最大の仮想敵国とみる伝統が根強いロシア国防省と軍部には強い抵抗がある。だが、貴重な外貨収入となる武器輸出の八割が中国とインド向けで占められているのもまた事実。 米国から台湾への武器供与に神経を尖らせる中国にとって特に欲しいのが、第五世代の戦闘機と防空システムの技術。中国は現在、ロシア製のスホイ27戦闘機をライセンス生産しているが、ロシアがエンジン生産の機微にわたる技術を提供していないことに不満を募らせている。 ロシア軍部は世界の武器市場の次の目玉である第五世代戦闘機の開発権をスホイ社に与えたが、開発費用は中国への武器輸出に大きく依存する。中国はこうした弱みを十分に利用して水面下で揺さぶりをかけている。

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