銀行株の下落に歯止めが効かない状態が続くが、とりわけUFJ銀行は厳しい市場の洗礼に晒されている。問題企業向けの貸し出しにしても、事態の打開を図るべく日商岩井とニチメンの経営統合を演出したが市場は反応薄だった。 こうしたなか、公的資金の再注入を回避すべく浮上してきたのが、新生銀行の買収だ。昨年十二月に三井住友銀行があおぞら銀行の買収を検討する動きが表面化したが、UFJの場合も自己資本のかさ上げを狙って検討を始めた模様。当の新生銀行も長引く景気低迷で二〇〇三年春に予定していた上場計画を一年延期する事態に。新生銀行を買収した米リップルウッドのティモシー・コリンズCEO(最高経営責任者)は「新生銀行を高値で売り抜けたい」とあおぞら銀行の売却の行方を注視しているとされる。「トヨタ自動車などをアテにした増資計画より、費用対効果などの面でよっぽど実効性がある」との声もUFJ行内から出ているほか、金融業界の過剰融資解消にもつながることから金融庁も関心を寄せている。あおぞら銀行の行方とともに、UFJを筆頭候補とする新生銀行買収劇に金融関係者の注目が集まっている。

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