「水道」の民営化は世界を救えるか

執筆者:サリル・トリパシー2003年2月号

地球規模で水不足が起きている。人的被害も広がり、「水戦争」ともいうべき状況も生まれている。水道事業の民営化はビジネスチャンスを生むと同時に、水不足を解消する方策となるかもしれない。[ロンドン発]二〇〇一年、インドとパキスタンの軍事的緊張が最悪の事態に至らなかった理由について、いくつかの分析がなされた。ひとつは言うまでもなく核の抑止力であり、もうひとつは国際社会が緊張緩和のために動いたからでもある。だが、この時、インド側がさらなる「抑止力」に思いを馳せていたことは知られていない。それは水である。パキスタンの一部は、インドを源流とする川から取水している。もしもインドがパキスタン北部の肥沃な平地への水の供給を断ったら、どういうことになるか……? これは絵空事ではない。実際、イスラエルは圧倒的な軍事力を盾に、地域の限られた水資源を独占していると、隣接するレバノンやパレスチナの占領地から非難を浴び続けている。 ジュネーブのシンクタンク「人権政策のための国際会議」研究部長のデイビッド・ペトラセクは、水資源をめぐる争いの未来を予測して、こう語る。「水は生命の源。未来の戦争は水へのアクセスをかけて闘われることになるだろう」。

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