経営不安が高まっているとはいえ、そう易々と潰れそうもないのは、そごうという“人質”があるからだ。百貨店・金融業界で波紋を広げている西武・そごうのタッグマッチが、みずほに“無い袖”を振らせる背景には……。 西武百貨店の再建をめぐり、メーンバンクのみずほコーポレート銀行、準メーンの東京三菱銀行などとの交渉が大詰めを迎えている。昨年十一月には“Xデー”まで囁かれ、インターネット上の掲示板には希望退職の方針決定など、日々の西武百貨店での出来事がリアルタイムに近い形で流された。「社内情報が漏れすぎている。まるで、(二〇〇一年九月に破綻した)マイカルの末期を思い出させる」(取引先首脳)。 確かに十一月は、取引先への支払いなどの資金繰りに相当、苦慮した模様。冬のボーナスは遅配もあり得ると、社員たちは覚悟した。支給されたのは十二月二十五日。一般の企業に比べ二週間程度遅かったわけだ。 経営不振にある流通企業の経営者にとって、十一月は最も神経をすり減らす月。売上高は一年で最低水準ながら、秋物商品の支払いと、一部の冬物商品の仕入れ代が嵩むからだ。実は西武百貨店は、一九九九年の十一月にも、百億円強の資金繰りのメドが立たなくなったことがある。第一勧業銀行(現みずほコーポレート銀)が百貨店側からの緊急融資要請に首を縦に振らず、百貨店首脳からは交渉時に「会社更生法もやむなし」というセリフまで飛び出したと当時の関係者は振り返る。グループ企業のメンテナンス会社の売却があり、この時は資金繰りのピンチは過ぎ去った。昨年十一月も、西武百貨店の窮状には、何ら変わるところなかったのである。

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