GEが落ちた「疑い」の無間地獄

執筆者:2003年2月号

まるでモグラたたきのように、否定しても否定しても頭をもたげてくる投資家たちの不審の目――。米国型企業の「最高級ブランド」だった分だけ強く吹きつける逆風に、イメルト会長の苛立ちは募る。[ニューヨーク発]二十三年にわたって二ケタ成長を続けている米国の優良企業の代表銘柄、ゼネラル・エレクトリック(GE)。家電製品から電力システム、航空機エンジン、テレビ放送、金融サービスまで幅広い事業を展開しながら躍進する姿には、世界中の経営者から羨望のまなざしが注がれてきた。 しかし、エネルギー大手エンロンや通信大手ワールドコムの破綻以降、こうした称賛・羨望の声が一変している。投資家はGEの金融部門、GEキャピタルの財務構造に疑いの目を向け、米国社会は引退後もGEから豪華な待遇を受けているジャック・ウェルチ前会長を、横領罪などで起訴された複合企業タイコ・インターナショナルのデニス・コズロウスキ前会長らと同じ「貪欲な経営者」としてみるようになった。二十一年間会長として名将ぶりを発揮したウェルチ氏とともにいわば「最高級ブランド」に位置づけられたGEも、今やその面影が薄れつつある。 最近のGEは投資家を失望させることが多くなった。二〇〇二年七―九月期決算では売上高、純利益ともに前年同期比で二ケタ増をたたき出してみせたが、税の払い戻し効果や事業売却益によるものが大きく、なんとかこしらえてみせた数字なのがありありだった。ウェルチ氏の後任であるジェフリー・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)も、かつてのように“市場から全幅の信頼を受けたGE”を演出できずに苛つくことが多い。投資家向けの業績説明会では「不満だ」「失望している」との愚痴をこぼす姿が目立つ。

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