普段は決断の遅い日立グループ十九社が、四月の商法改正で認められる米国型の企業形態である「委員会等設置会社」に一気に移行する方針を示し、経済界に驚きを与えている。だが、電機各社は株価が低迷していることから、「株主の評価を高めるのが狙い」(業界関係者)と評判は芳しくない。 監査、報酬、指名の各委員会で過半数にすることを義務づけられる社外取締役の人選にも“お手盛り”批判が集まっている。社外取締役は「仕事量からみて兼任は三社が限度」(弁護士)といわれるポジションだけに、今後は候補者の争奪戦が始まる可能性がある。 そこで浮上するのが、「新たな天下り先」としての社外取締役。企業側は財界人にこだわって無名の人材を探すより業界で知られたキャリア官僚を好むとみられ、官僚OBの新たな再就職先となる可能性が高い。 文字通りの非常勤で報酬は一社あたり年間五百万から一千万円にはなり、三社も兼務すればかなりの額。もちろん、車や個室もつく。委員会等設置会社は本来の意図からはずれ、官僚ハッピー・リタイアメント組の楽園、老人ホームになりかねない。

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