ロシアの巨大官庁、原子力省幹部の発言が、プーチン政権内部で物議を醸している。ルミャンツェフ原子力相が最近、「北朝鮮の原子力開発に今後、専門家を派遣する用意がある」と述べたのがその一例だ。 クレムリンが「朝鮮半島の非核化」「北朝鮮の核拡散防止条約順守」を掲げ、ロシュコフ外務次官を大統領特使として平壌に派遣するなど「駄々っ子」(ロシア政府幹部)の北朝鮮を相手に、微妙な仲介外交を展開している時期だけに、この発言には「無神経すぎる」との批判が高まった。 しかし、原子力省は中国やイランへの原発や関連技術の輸出などで外貨を稼げる唯一の官庁で鼻息が荒い。国内の核閉鎖都市の専門職員も含めると、数万人の大所帯となる。かつて「国家の中の国家」と呼ばれた旧ソ連国家保安委員会(KGB)にも比肩する強大な組織で、クレムリンの統制も行き届かないのが実態だ。 米国が神経を尖らせるイランの原発建設でも、原子力省系のアトムストロイエクスポルト社のコズロフ社長が「さらに五基の原子炉をイランに輸出する」とぶちあげている。

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