世界最大のヘロイン生産国であるアフガニスタンのケシ栽培に対し、隣国タジキスタンとウズベキスタンが「新兵器」を開発している。両国が国連の援助を受けて研究しているのは「キラーきのこ」。正式名称は「ポリスポア・パパベリサイド(ケシを殺す胞子)」で、ケシの生長を初期段階で止める効果がこのほど確認されたという。 タジキスタンの生物学者で国連麻薬取締班にも協力しているサイドムラドフ氏によると、遺伝子操作で作られた「キラーきのこ」の威力を測る実験は、アフガニスタンの気象条件に近い高地で行なわれた。〇・五ヘクタールの土地にケシを植え、その上から「キラーきのこ」の胞子を撒布したところ、ケシは十日から十五日で枯れたという。気になる環境への影響だが、百八十種の植物や作物を使って調べた結果、他の作物には障害が出ないことがわかった。 タリバン政権崩壊後、アフガニスタンでは再びケシ栽培が活発になっており、国連によると二〇〇二年の栽培量は前年比十八倍の二千七百トンまで増えている。ヨーロッパへの麻薬の「通り道」となる中央アジア各国が対策に乗り出すのも無理からぬことか。

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