ビル・ゲイツを脅やかす男

執筆者:2003年3月号

[パロアルト発]米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長がいま最も神経をとがらせる人物は、パソコン用基本ソフト「リンドウズOS」を開発、販売するリンドウズ・ドット・コムの創業者、マイケル・ロバートソンCEO(写真)だ。リンドウズ社は二〇〇一年六月設立の非公開企業。カリフォルニア州サンディエゴ市内に本社を構え、社員数は約五十人。ロバートソン氏は三十五歳。カリフォルニア大サンディエゴ校で認知科学を学び、卒業後にネット配信サービス「MP3ドット・コム」を創業、ネット業界で高い評価を得ている。 リンドウズOSはソースコード(ソフトの基本設計図に相当)が開示されたLinuxを土台に開発した製品。低価格と安定性が売り物で、昨年の米クリスマス商戦では低価格パソコンメーカーのマイクロテル社と組んで同OS搭載の新型パソコンを投入。モニター別売で百九十九ドルの最廉価モデルは即完売した。 同モデルは統合業務ソフトにマイクロソフトの「オフィス」でなく、サン・マイクロシステムズの競合製品「スターオフィス」を搭載。スターオフィスは世界各地のエンジニアが公開されたソースコードを基に無償で開発・改良に参加する「オープンソース」方式でつくられたため実質無料だ。ウィンドウズ、オフィス両方を搭載した同性能のパソコンに比べて六百ドル強安い。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。