第二次シャロン政権はさらに右傾化

執筆者:立山良司2003年3月号

イスラエル総選挙で右派のリクードが圧勝し、左派の労働党は大きく議席を減らした。シャロン首相は大連合内閣を目指すが、右派・宗教政党連合となる公算が高い。中東問題の第一人者の最新分析。「今こそテロやイラクの脅威に対抗し、国民が団結すべきだ」――一月二十八日に行なわれたイスラエル総選挙で大勝した右派政党リクードのシャロン党首(現首相)は、国民の団結を改めて呼びかけた。一方、パレスチナとの和平推進を掲げた労働党は、結党以来最低の議席数という大敗北を喫した。第二次シャロン政権もタカ派色が強く、暴力の連鎖に歯止めがかかりそうにない。それでも選挙民はシャロン氏を信任した。そこには「出口がない」というイスラエル国民の意識がそのまま反映されている。四つの要因と三つのシナリオ 選挙結果は左頁の表の通りだ。リクードは三十八議席と前回選挙(一九九九年)の二倍となり、二十年以上続いた退潮傾向を久々に逆転させた。一方、労働党は第二党の座を辛うじて守ったものの、中心政党としてイスラエル政治に君臨したかつての面影はない。今回選挙のもう一つの特徴は、厳格な政教分離を掲げるシヌイが第三党に躍進したことだ。逆にユダヤ教政党シャスは第四党に転落した。

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