日本の原子力発電のネックとなっている使用済み核燃料の処理問題で「ウルトラC構想」(電力関係者)が密かに検討されている。使用済み核燃料をシベリアに運び、実質的に最終処分するプロジェクトだ。ロシア側が年間数十億円を処分場のリース料として受け取るもので、ロシア政府は新たな収入源として乗り気だという。 東京電力の原子力発電所の検査不正事件や名古屋高裁金沢支部での高速増殖炉「もんじゅ」の設置認可無効判決などで日本の原子力発電は「過去最大の危機」にあり、特に使用済み核燃料のサイクル路線は実質上頓挫している。東電は青森県、関西電力は和歌山県に中間貯蔵施設の建設を計画しているが、現状の規模で軽水炉の運転を続ければすぐに満杯になる。一方、国内には最終処分場誘致に名乗りを上げる自治体はない。 プルサーマルや高速増殖炉が実現しないまま再処理に踏み切れば、プルトニウムが日本国内に溜まり国際的に核兵器開発の疑念をもたれかねない。ロシア側からはさらに「最初からロシアで燃料棒をつくって日本の電力業界にリースし、使用後はまたロシアが引き取る」という提案まで行なわれているようだ。

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