ソニーに対する謎のTOB(株式公開買い付け)宣言が話題を集めている。発端は米国ソニーの幹部に届いた一通の電子メール。「ホリングワース・メイヤー・ロズウエル・アンド・ロックスフォード」と名乗る差出人は、株価が割安のまま放置されている企業を探すM&A(合併・買収)専門会社だと自社を紹介している。 背後にLBO(相手資産を担保にした企業買収)ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などの「大物」が控えていることをにおわせたメールもあるというが、差出人の“正体”ははっきりしない。 TOBを仕掛けるまでは水面下で動くのが常識だ。この買収提案は、なんらかの勢力がソニー株の株価吊り上げを狙った悪質な「風説の流布」である可能性が高い。だが、メールの差出人が算出しているソニーのビジネス資産などの数字は「決して荒唐無稽なものではない」(市場関係者)。 ソニーは二〇〇〇年、上場グループ企業三社を完全子会社化している。ソニー本社の株式時価総額を高め、買収などを仕掛けられにくくするためとも言われたが、こうした危惧は杞憂ではなかった。

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