フィリピン南部ミンダナオ島のダバオ空港で三月四日、爆弾テロ事件があり、二十人以上が死亡した。治安当局はダバオ周辺地域で活動を続けるイスラム過激組織モロ・イスラム解放戦線(MILF)の犯行とみて、関係者の拘束や捜査を始めている。 捜査の過程では、MILFのメンバーとみられる男性が爆弾で死亡していることがわかり、自爆テロの可能性も一時検討された。結局は巻き込まれての死亡のようだが、プラスチック爆弾C4とみられる強力な爆弾を使用し、さらに、ルソン島などを拠点とする共産主義武装勢力、新人民軍(NPA)が背後でMILFと連絡を取り合っていた可能性も浮上している。 さらに今回の爆弾テロでは、アル・カエダと関係があるとされるイスラム過激派組織「アブ・サヤフ」が犯行声明を出しているが、これは捜査の攪乱を狙ったものとみられ、アブ・サヤフとMILFが共同歩調をとっているとの見方が有力だ。これまではテロや誘拐は個別に行なわれてきたが、武装闘争が組織の再編や共同作戦を含む新段階に入ろうとしているとみて、フィリピン治安当局は警戒を強めている。

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