会計士たちよ、もう言い訳はやめよう

執筆者:岡崎一浩2003年4月号

監査基準の改定により、公認会計士はクライアントの“倒産リスク”もチェックする立場になった。日本の「ローカル基準の不備」を嘆く前に、会計士自らが責任を取る覚悟が求められている。 日本の会計基準に基づいて作られた決算書が世界の投資家からまるで信用されていないことを、ここで繰り返すつもりはない。企業側は「ルールを急に変更されるのは困る。日本ルールで何がいけないのか」などと言う。会計士側は「基準そのものが未整備だ。官庁の縦割り法制が障害として残っている。監査報酬が米国の十分の一しかない」とまあ、いくらでも言い訳は並べてきた。 そんな内輪の議論など、実際にはどうでもいいのだ。決算を米国基準で作成し、監査も米国と同じ基準で実施している企業は多数にのぼっている。海外の投資家を相手にしているような会社は、日本の会計制度とはもうほとんど関係ない。 ただし、日本基準にしがみついている企業の摩訶不思議な決算については注目しておいたほうがいい。例えばマツダ。フォードの出資は三三・四%しかないれっきとした日本企業なのだから、日本基準を使用しても文句をつける筋合いはないのだが、マツダは日本のリース会計基準に則って所有していた各種不動産をバランスシートから落としている。これらはすでに不動産信託に売却され、マツダに対しリースバックされている。構図的にはエンロンの「飛ばし」と同じだが、日本基準では問題にはならず、エンロンのように手の込んだ真似をする必要すらないのである。

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