「お座敷パンダ」が欲しい!

執筆者:成毛眞2003年4月号

 手塚治虫が雑誌『少年』で一九五二年に連載を開始した「鉄腕アトム」は、二〇〇三年四月七日に誕生したことになっているロボット少年だ。アトムが登場して以来二十世紀中は、ロボットは工場で使われる生産設備の一種でしかなかった。しかし、二十一世紀に入り、ホンダやソニーなど好調な企業が相次いでヒューマノイド型ロボットを発表し始めた。五十年ぶりの進展である。さらに五十年経てば、本物のアトムが誕生していてもおかしくはない。 二〇〇一年に話題となった百年前の報知新聞の記事では、無線電信・電話、冷暖房装置、写真電話、七日間世界一周などが予測されていた。当時は呆れた夢物語でしかなかったことが、百年を待たずに実現している。しかも、通信業や航空業などの新産業が、この夢物語から生まれているのだ。 SFに代表される夢物語が技術を進化させ産業を作り出すのだとしたら、次の夢物語を作り始める必要がある。 第一弾は「お座敷パンダ」。体長四十センチくらいのパンダが欲しい。家に帰ると小さなパンダがソファーの上ででんぐり返しをしているのだ。笹やサトウキビを食べながら風呂場で水あそびをしているのだ。あまりにも可愛い。独身者たちは背中にパンダをおぶって出勤せざるを得ないから、会社は託パンダ所を設け人材確保に乗り出す。ルイ・ヴィトンは「パンダおんぶバッグ」を発売し、レストランは「パンダと一緒! 特製サトウキビディナー」を提供する。男性雑誌も「パンダと彼女 どっちを選ぶ?」特集を組む。

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