「LOVE MUSIC? SAVE MUSIC! 私たちの音楽を大切に聴いて下さい。」――。浜崎あゆみや宇多田ヒカル、松任谷由実、ザ・ローリング・ストーンズ……。二月の朝刊各紙に、著名アーティスト百二十二組が連名で全面広告を出した。日本レコード協会と日本音楽著作権協会が音楽の不正コピーや不正ファイル交換が犯罪になることを訴えたものだが、ここまでレコード会社各社が不正コピーに危機感を覚えるのは何故なのだろうか。 ここ数年、CD販売は低迷しつづけているが、要因には違法コピーの増加がある。そこで昨年三月、インターネット上でのファイル交換やCD-Rへの違法コピーを防止する「コピーコントロールCD」(CCCD)が大手レコード会社エイベックスから発売され、各社がこぞって追随した。背景には、違法コピーの蔓延でCDの売上げが減り、良い音楽をつくるアーティストが減る、レコード会社も新譜発売に及び腰になる、結果的に消費者の利益を損なうという各社に共通する論理がある。この悪循環を打破する方策がCCCDというわけだ。 実際、違法コピーの蔓延は深刻で、日本レコード協会の推計では国内で販売されるブランクCD-Rの四八%(約二億三千六百万枚)が音楽複製に使用されているが、この数字は音楽CD生産数量の六割以上にあたるものだ。一方でCDは生産金額・数量とも一九九八年をピークに前年割れ。あるレコード会社社員は「テレビCMやドラマとのタイアップをすれば簡単にミリオンセラーを出せたのはバブル。我々の業界は遅れたバブルが崩壊した」と語る。

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