価格競争力で日本や欧米メーカーを震え上がらせていた中国ハイテクの雄、華為技術が、世界最強のネットワーク機器メーカー、シスコシステムズという虎の尾を踏んでしまった。一月下旬、シスコが華為技術を特許とソフト著作権の侵害で東テキサス地区米連邦地裁に訴えた。シスコ製品と機能や使い方がそっくりなネットワーク機器を華為が中国国内だけでなく日米欧でも激安で売るようになり、訴訟嫌いで有名なシスコのジョン・チェンバーズ社長も堪忍袋の緒が切れたようだ。 ネットワーク上の“交通整理機”であるルーターに搭載されたソフトウエアや機器の取扱説明書がシスコのものにそっくりなことなどが明らかになっており、裁判はシスコ有利で進むとみられている。実際、華為は「不正はない」と反論しながらも、シスコに問題視された製品の米国内販売を二月に入って停止した。 そこで、焦点はすでに「有罪判決」が出た後の中国政府の出方に集まっている。というのも日欧各国政府は販売停止など米国での判決内容を自国でもそのまま踏襲して執行する可能性が高く、中国にも同様の措置が求められることになるからだ。外交上も重要な切り札となっている「高成長市場」としての役割維持と自国ハイテク産業育成という、二つの政策課題の間で中国政府は難しい判断を迫られることになる。

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