中国東北部の表玄関、大連市が日本に熱烈なラブコールを送っている。外資の対中進出先として「グレーター上海」エリアや華南地区がもてはやされるなかで、大連市は懸命に巻き返しを図ろうというわけだ。 一月に大連市長に就任したばかりの夏徳仁氏は二月に訪日。東京、大阪、名古屋などを回って、企業の大連進出を訴え、その際、明らかにしたのが「大大連構想」だった。 大連市内には経済開発区や経済技術開発区、保税区のほか、ハイテクパークなどさまざまな外資優遇地区が設置されているものの、すでに飽和状態にある。このため外資優遇地区をさらに南北に広げ、南は旅順、北は金州までの地域に、製造業に限らず金融、観光、商業貿易、情報・ハイテクの各センターを整備する。ロシアはおろか朝鮮半島や日本までも経済圏に組み込んで、大連を中国東北部のショーウィンドーにしようという大胆な構想だ。 大連には現在、外資系企業が八千二百三十三社進出しており、うち日系企業が二千百五十二社(全体の二六%)と、外資のなかでは最も多い。次いでアメリカ系企業が一六%、カナダが九%で、このように日系企業が一位を占めている都市は、中国では大連だけ。 日本の大手企業はほとんどが進出しており、商社では三井物産、三菱商事、丸紅、伊藤忠など、メーカーでは松下、東芝、三洋、キヤノンなどが主な顔ぶれだ。大連では日本語学習熱が盛んであり、日本語人口が多い。開発区の土地代の高さなど、企業進出上のネックはあるが、華南や上海も人件費上昇などの現象が出始めている。大連は、持ち前の利便性に転機を探っている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。