イラク戦争終結後、米国が「不安定の弧」と呼ぶ中東から北東アジアにかけての地域の足場として、東ティモールに軍事基地を建設するのでは、との観測が出てきた。 米国防総省は、同時多発テロ直後の二〇〇一年十月に議会に提出した報告書で、アジアに「強大な資源基盤を有する軍事的競争相手」が出現する可能性を懸念し、米軍基地の密度が低いアジアに「追加的アクセス」を確保する重要性を指摘。その有力候補が東ティモールとの見方が広がっている。 東ティモール近海には深い海溝があり潜水艦が潜伏可能で、周辺地域に睨みをきかせるのにもうってつけ。そのうえ、米軍兵士が東ティモール国内で犯罪を犯しても同国内の裁判所に起訴しないという条項を盛り込んだ地位協定に、両国は調印している。 また、東ティモールには米軍の役務を代行するDynCorpがすでに事務所を開設。このことも、二〇〇四年六月の国連東ティモール支援ミッションの任務終了後に米軍が基地などを置くのではとの観測を呼ぶ要因となっている。

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