北朝鮮の金正日総書記の息子である金正男が、イラク戦争開戦に前後してモスクワに滞在していた可能性が濃厚だ。外交筋によると、金正男はクレムリンから徒歩十分の外資系高級ホテルの五階のスイートルームを使用。多額の滞在費は本国かモスクワの北朝鮮大使館から振り込まれたという。 金正男の消息は、二〇〇一年五月、家族とともに東京ディズニーランドに行こうとして日本への不法入国を拒否されて以来、断片的にしか伝えられていない。フランスへの入国ビザを申請して拒否されたとも報じられており、本国より海外にいることが多いとの見方が強い。モスクワ滞在説は以前もあったが、最近では北京にもいたとの説もある。 モスクワ滞在の目的は、ロシア製通常兵器の購入やロシア国防省との非公式折衝との有力情報がある。フセイン政権と緊密な連絡があるロシア軍参謀本部諜報局(GRU)から、イラク情勢について説明を受けていたともされる。 金正男は、金正日総書記の後継レースから脱落、本国への帰還もままならないとの噂が流れる一方、「総書記の意を受け重要な役割を担っている」(消息筋)との見方もあるため、日本政府も強い関心を寄せている。

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