イラクのフセイン政権支持を表明していたシリアが米国の攻撃を恐れ、イラクへの軍事支援を打ち切っていたとの有力情報がある。 ヨルダンの情報筋が明らかにしたもので、シリア軍は戦争開戦直前、陸路で国境を越えて軍事物資や義勇兵をイラクに搬送していたが、バグダッド南方の「カルバラ会戦」で米軍の勝利が確実になった三月末、アサド大統領が軍首脳との秘密会合で一切の対イラク支援の中止を決めたとされている。 アサド大統領は表向き、対米強硬姿勢を崩していないが、「米軍の圧倒的な強さに大きな衝撃を受けた」(同筋)といわれ、“フセイン後”の次の標的にされるのを極度に心配するようになったという。 また、ダマスカスの軍事筋は、バグダッド攻防戦でイラク側の抵抗が予想外に弱かった要因のひとつに、アサド大統領の「裏切り」により、シリアに隠匿していた大量の兵器をフセイン政権が使用できなくなった可能性を挙げる。 アサド大統領は最近、元イラク国王ファイサル二世の血を引く人物をトップとする反フセインの新組織がシリア国内で活動するのを認めた。ポスト・フセインをにらんだ動きであるようだ。

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