公正取引委員会が三月末、日本航空システム(JAL)が計画していた六月からの国内普通運賃値上げに待ったをかけた。一部には「値上げを認めないように竹島一彦委員長が現場にクギを刺した」という解説もあるが、どうやら公取委に値上げを認めさせる理屈をJALが提示できなかったというのが真相のようだ。 JALは昨年十月の経営統合を前に「普通運賃を一〇%値下げし、経済環境の急激な変化がない限り少なくとも三年間は値上げはしない」という対応策を公取委に提出。ところが年明け以降の収益悪化に悩み、イラク問題を理由に普通運賃を経営統合前の水準に戻すことを考えていた。しかし関係者によると、三月二十日から行なわれた話し合いでJALは「開戦で需要は大きく落ち込む、との見通しを述べただけ」だったという。「値上げを見送ったのは向こう。こっちは何も言っていない」(公取委関係者)。JALは結局、六月から割引料金のみを引き上げる。「普通運賃と割引運賃の格差が縮小し料金的な魅力はなくなった」とJAL幹部はボヤくが、公取委に花を持たせつつ、値上げには成功。利用者だけが馬鹿を見る形だ。

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