イラク復興への日本の支援策として陸上自衛隊の活用が焦点になってきた。現地を訪問した山崎拓自民党幹事長が「輸送や土木工事、医療活動などの分野で自衛隊を活用すべき」と話したことを受けた措置。ペルシャ湾岸の貿易港ウムカスルへの医療部隊派遣が急浮上している。 ウムカスルには米海兵隊と英軍が進駐していたが、米海兵隊は引き揚げ、現在は英軍だけ。防衛庁は医療部隊を派遣する余地はあるとの感触を得ているという。部隊編成は現地調査後になるが、中米ホンジュラスに国際緊急援助隊として派遣したのと同規模の医師、看護士、支援部隊からなる約八十人程度とみられる。 政府が陸自の派遣にこだわるのは、政府専用機や航空自衛隊のC130輸送機による物資の空輸では目立たないことが大きい。陸上部隊の長期派遣により、日本の旗に注目を集めたい思惑があるようだ。 既に各国は軍の派遣を始めており、韓国も七百人の工兵隊の派遣を開始した。政府関係者のあせりは大きいが、陸上自衛隊からは「武器使用を正当防衛、緊急避難に制限されている以上、安全な活動しかできない」との声が出ている。実現しても、活動は小規模なものになりそうだ。

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