ロシアのプーチン大統領はイラク戦争で自国の政府機関が見通しを誤ったことを重視し、旧ソ連時代の国家保安委員会(KGB)を本格的に復活させる意向を固めたといわれる。 イラクに対する米英の軍事行動が開始された当初、プーチン大統領のもとには「米英軍が苦戦し、戦争は泥沼化する」との情報が外務省や軍部からもたらされ、それを鵜呑みにしていた節がある。モスクワの消息筋によれば、政府内で依然影響力を持つとされる中東専門家のプリマコフ元首相やクワシニン参謀総長らの予測を信じ込んでいたらしい。「ロシアの説得でフセイン大統領が亡命を受け入れる」とのプリマコフ氏の進言で同氏をイラクに派遣したが、ものの見事に失敗。以後、プーチン大統領は同氏や外務省高官の話に耳を貸さなくなり、「昔のKGBならこんな無様なことにはならなかった」などと愚痴をこぼしたという。 自分自身がKGBの出身でもあるプーチン大統領は、かつての配下であるイワノフ国防相らと、今年三月に機構改革した連邦保安局(FSB)を軸として、実質的なKGB再生構想を練っている、という見方が有力だ。

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