対イラク開戦前には「武力行使反対」の国内世論の高まりで孤立したブレア英首相だったが、フセイン政権崩壊後は国民の支持率が五〇%近くまで急回復。しかし、それも束の間、今度は公私にわたり新たな難問を抱え込んでいる。 ロンドンの消息筋によれば、長年のライバルとされる実力閣僚のゴードン・ブラウン財務相との確執が再燃。イラク戦争の最中、両者は“休戦状態”にあったが、戦争終結とともにいがみ合いが始まり、特にユーロ導入問題をめぐっては早期導入を唱える首相と慎重派の財務相の対立が「のっぴきならない局面」に入ったという。この背景には次期首相の椅子を狙うブラウン財務相の政治的思惑が絡んでいるとの見方が有力だ。 もう一つ、ブレア首相を悩ませているのが、家族の宗教問題。首相一家の中で英国国教会教徒はブレア氏だけで、シェリー夫人や子供たちはカトリック教徒。四月のイースター(復活祭)ではカトリック教会で家族とともに聖餐式に臨むことをローマ法王から拒否された。家族からは最近、カトリックへの改宗を懇願されたようだが、夫人は改宗に気乗り薄の夫に強い不満をぶつけているという。

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