富士通の経営に赤信号が灯り始めた。主力事業の銀行向けコンピューターシステムで銀行からのキャンセルが相次いでいるのだ。 昨年十一月、島根銀行が勘定系システムの開発・運用で富士通への委託を中止。今年三月には北日本銀行(岩手県)も富士通に基幹系システムの開発委託解除を通告し、五月には十八銀行(長崎県)、佐賀銀行、筑邦銀行(福岡県)の九州地銀三行も基幹系の開発契約を切った。 いずれも原因は富士通側の開発の遅れ。つまずきの発端は昨年四月のみずほ銀行のシステム障害。旧第一勧銀・富士通と旧富士銀・日本IBMの両陣営が張り合った末、焦点の勘定系を一勧・富士通連合が取ったものの、経営統合直後の未曾有の大トラブルで富士通も信用を失った。 その後遺症で後続のシステム開発まで遅れた。納期死守は最優先課題。徹夜作業を続けてでも間に合わせるのがシステムプロバイダーの使命であり、誇りでもあったが、富士通はその最低ラインすら守れなくなっている。すでにライバルの日立製作所は北日本銀から代替受注した。日本IBM、NECも「富士通離れ」案件を虎視眈々と狙っている。

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