NTTドコモが開発・採用している第三世代携帯電話(G3)のW-CDMA方式(国内ブランド「フォーマ」)の普及戦略が壁にぶつかっている。アジアでのデファクト・スタンダード化を狙ってシンガポールのシングテルモバイルと香港のハチソンテレフォンに技術情報を供与したものの、最大市場の中国で提携先確保のメドが立っていないからだ。 中国政府が自国開発のG3規格、TD-SCDMA方式に固執しているせいもあるが、日本などの電機メーカーが現行方式であるGSMの端末の製造設備を昨年来、急拡大させ、「G3移行を遅らせる必要がある」との判断が出てきたことが大きい。中国の情報産業省関係者はGSMの時代はあと十-十五年続くと指摘している。 中国がG3移行を遅らせた場合、香港やシンガポールは出張、旅行などでの利便性ゆえGSMを使い続ける予定。ドコモの技術供与はムダ打ちになる恐れもある。アジア市場を確保できなければ、量産効果による端末のコスト引き下げも、欧米展開も難しい。「夢のG3」は普及せず、GSMから第四世代(G4)に直接移行する可能性も出てきた。

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