大証の没落は止められるのか

執筆者:2003年6月号

「霞が関に敵愾心を燃やす社長」が「市場の体を成していない市場」を率いる現状では…… 大阪証券取引所がじり貧になっている。相次ぐ上場企業の撤退、上場審査をめぐる金融庁の改善指導など、存在意義を問われかねない問題が次々と浮上、新たに持ち上がった個別株オプションの仮装売買問題は巽悟朗社長の足元も揺さぶっている。今年秋には東京証券取引所に先駆けて自らの株式を公開する予定だが、大証を取り巻く環境は厳しさを増すばかりだ。「どうして金融当局の神経を逆なでするようなことばかりするんだ」――。大証の関係者が頭を抱えるような出来事が今年三月十七日にあった。「上場審査などに問題ありと、金融庁が大証に改善指導していた」と全国紙が報道した翌日のこの日、大証はまるで金融庁にあてつけるかのように、自ら最も力を入れるヘラクレス市場への新規上場案件の承認を発表した。 金融庁が証券会社を改善指導するのは珍しくないが、公共性の強い証券取引所を、それも「上場審査に問題あり」と改善指導するのは聞いたことがない。ところが大証は反省するどころか改善指導が明らかになった直後、すったもんだの末にナスダックジャパン市場から改称した市場への新規上場を承認すると発表したのだ。

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