その原因は組織政党の退潮と政治的無関心。統一地方選は「不気味な現実」を浮かび上がらせた。 四月二十八日、記者会見した公明党の神崎武法代表は、同日全日程を終了した統一地方選挙の結果を総括し、「与党としての実績に(有権者の)信頼が寄せられた結果だ」と胸を張った。 神崎氏が得意満面なのも無理はない。何しろ公明党は統一地方選の道府県、指定市、市区町村議会議員選挙で、立候補した公認・推薦候補二千百二十一人全員を当選させたからだ。もともと同党はその支持基盤である創価学会が地域の票をきっちりまとめ、国政、地方選を問わず、公認候補を手堅く当選させることで知られる。それでも、統一地方選で落選ゼロの完封勝利を遂げたのは初めてのことだ。 しかも、公明党が得た成果は、地方議員の全員当選だけではない。その組織力を生かして、自民党に大きな貸しを作ったことも大きい。特に、四月十三日に投票が行なわれた知事選では、北海道、大分などで苦戦する自民党系候補を公明党が強力にバックアップ、当選の原動力となった。 自民党幹部は「(四月二十七日投票の)衆参統一補選では公明党に借りを作っていない。知事選での借りは知事が返せばいい話で、国政とは直接結びつかない」と強がって見せる。しかし、同じ自民党でも県連レベルに行けば、「確かに、学会票がなければ危ない知事選がいくつもあった。小泉人気が地に堕ちている以上、次期総選挙でも(学会票の)世話にならざるを得ない選挙区は多い」という本音が聞こえて来る。党本部がいくら強がっても、自民党は次期衆院選で公明党抜きの選挙戦略を立てることなどできはしない。与党の「学会頼み」は確実に進行している。

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