「りそな国有化」に出口なし

執筆者:2003年7月号

なけなしの利益を借金返済に使い、政府の意向には逆らえない。これで「再生」ができるのか? 新生銀行とあおぞら銀行が埼玉りそな銀行の買収に乗り出したらしい――。五月十七日にりそなグループの過小資本が明らかになり、実質国有化が決まって間もない五月末、永田町をこんな未確認情報が駆けめぐった。 埼玉りそなは、経営不振にあえぐ会社が多いりそなグループの中で数少ない優良企業だ。大企業向けの不良債権はほとんどなく、埼玉県内では圧倒的な取引シェアを誇っている。金策に窮したりそなグループが、その「お宝」を高値で売却するというのである。 確かにこれはある意味で、理想的な組み合わせだと言っていい。大企業向け貸し出しが主力で、資金調達にはいまだに金融債が欠かせない長期信用銀行である新生とあおぞらに対し、埼玉りそなには県内の自治体や中小企業から巨額の預金が集まってくる。実際、相互補完関係にあるので金融庁が再編を後押ししているなどという、しごくもっともらしい尾ひれまでついていた。 りそなグループにまつわる再編観測では、埼玉りそな同様に不良債権のダメージが軽いりそな信託銀行の名も挙がる。「住友信託銀行が名乗りをあげている」「三菱東京グループが金融庁に接触した」。りそな信託をめぐっても、こんな話がこのひと月の間に、繰り返し浮かんでは消えている。

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