ロシアが、地域紛争などでの使用を想定した新型の小型核兵器開発に本格的に乗り出している。プーチン大統領は、内外政に関する基本方針を示した五月の年次教書で、ロシア核戦力の「近代化」に力を注ぐ方針を明確に打ち出した。 教書は小型核に具体的に言及してはいないが、ロシア軍事筋は「大統領は四月に、冷戦終結で使用の可能性がなくなった戦略核に代わり、国際テロ組織の拠点攻撃などにも使える小型核の開発を指示した。教書はその事実を指している」と語る。 もともと旧ソ連には、核地雷やアタッシェケース型の小型戦術核に関して世界一の技術があった。「国際テロ組織との戦争」を進める米国が小型核の開発に力を入れていることに対抗して、ロシアが伝統的な技術を基礎に、比較的安価な戦術核戦力の確立を図っているとの見方が有力だ。 イラク戦争後、ロシアは対米関係ですっかり劣勢に立たされたものの、戦術核の透明性を高める米国の提案には難色を示している。戦略核の競争に一応の終止符を打った米露だが「実際に使える核兵器」をめぐって新たなつばぜり合いが始まっている。

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