来年実施される大統領選挙への不出馬を表明したフィリピンのアロヨ大統領が、前言を撤回して再出馬するとの観測が高まっている。イラク戦争を積極的に支持したアロヨ政権が、米国からの経済支援を得て勢いを取り戻しているからだ。 アロヨ政権は、イラク戦争支持の見返りとして、米国から三億五千万ドル超の軍事援助を含む四十一億ドル相当の経済支援を五月の訪米でとりつけたほか、イラク復興に向け、三万―五万人のフィリピン人への労働機会の提供、新規のフィリピンに対する投資など、これまでにない規模の支援を米国から引き出した。 また、フィリピン南部で分離独立運動を展開するモロ・イスラム解放戦線(MILF)との紛争でも米軍の支援を受けており、ここで戦果を挙げれば、さらに政権の浮揚力が増すことも考えられる。MILFはジェマー・イスラミアを介してアル・カエダとの関係も取り沙汰されている。 アロヨ政権は和戦両様をにらみつつ、相手の出方次第では余勢を駆って本格的な軍事行動に出るかもしれない。国政に強い影響力を持つカトリック教会のシン枢機卿も、続投を望んでいると言われる。

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