高齢と健康状態の悪化から昨年夏ごろには退位説がしきりに伝えられたローマ法王ヨハネ・パウロ二世。ところが、今年五月十八日の八十三歳の誕生日は比較的元気に迎え、その後も公務をこなしている。 バチカン関係者がこのほどイタリアの一部マスコミに語ったところによると、法王庁では昨年春から夏にかけての時期、法王の退位は時間の問題とみて、「特別態勢」を組む準備に入った。しかし、昨年暮れ以降はその準備をやめたという。 この関係者によれば「持病のパーキンソン病やひざの関節炎は相変わらずだが、全般的な健康状態は昨年春よりはるかにいい」。その理由については「持病に非常によく効く薬が見つかったことや法王の移動のために作られた輿が体をうまく支えていることもあるが、イラク戦争が起きて、平和のために何かをせねばならないと精神力が回復したことから健康状態が奇跡的に持ち直したようだ」と指摘している。 だが、イラク戦争も終わり、最近のクロアチア訪問の際には自らの死に言及。再び肉体的、精神的な衰えを懸念する声がバチカンでは聞かれ始めている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。