株価が低迷するたびに露骨に「株価下支え」を迫られるのは、郵便貯金が日本郵政公社の事業になっても変わらないらしい。実際、政府が五月にまとめた証券市場活性化策でも、郵貯の株式運用比率を現在の一%から二%にまで引き上げるよう求められている。しかし、四月に発足した日本郵政公社の内情も、郵貯資金ポートフォリオの現状も、簡単に政府の要求に応じられる状態ではない。 郵貯と簡易保険を合わせた資金量は約三百六十兆円。個人金融資産(約千四百兆円)の四分の一に匹敵し、その大半が国債で運用されている。郵貯資金(約二百四十兆円)に限って見ても、その運用先のほとんどは、財政投融資資金への預託と国債の引き受けだ。郵政公社の自主運用分のうち八割が国債で運用されており、株式はわずか一%程度にとどまっている。 長期金利の指標となる十年物国債の利回りが過去最低水準(価格は最高水準)にある中で、国債に偏った公社のポートフォリオは見直しが必須。将来、経済情勢の変化で金利が上昇に転じ、国債価格が下がれば、巨大な評価損を抱えることになるからだ。民間企業並みの経営を目指すなら、「国債の比率を下げるなど早めに手を打つのが筋」(市場関係者)と言える。

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